事件で悪用される物質の多くは、医療現場で処方される睡眠導入剤や抗不安薬、あるいは指定薬物など多岐にわたる。これらの薬剤は体内での分解・代謝スピードが非常に速く、摂取から24時間〜48時間を経過すると一般的な尿検査や血液検査で検出限界以下に達してしまう。
法医学の専門家らは、薬毒物検査による客観的証拠の採取が時間との闘いであると指摘する。被害に遭った直後は混乱や自責の念から通報や受診が遅れがちになるが、体内に薬物の痕跡が残っている間に適切な検体採取を行わなければ、後の立証が著しく困難になるという構造的な課題を抱えている。