「何かを変えることができる人間がいるとすれば それは 大切なものを捨てることができる人だ」
女型の巨人捕獲作戦のさなか、アルミン・アルレルトが放ったこの言葉は、作品全体を貫く核心的な哲学と言っても過言ではない。人間は何かを得ようとするとき、無意識にリスクを避け、現状の安寧を守ろうとする。しかし、目の前にある危機を打破し、非日常的な成果を掴み取るためには、人間性や思い出、時には命すらも天秤にかけなければならない。調査兵団の団長エルヴィン・スミスが見せた冷徹なまでの決断力を前に、アルミンはこの残酷な真理を看破した。
何かを切り捨てる覚悟を持たない者に、世界を変革することなど不可能——。これは過酷な戦場を描いたフィクションの枠にとどまらない。選択と集中の波に晒される現代のビジネス市場や、キャリアの岐路に立つすべての人々に対する痛烈な教訓だ。現状維持の温もりに依存せず、退路を断つことの凄み。アルミンの思考法は、退路のない局面でこそ真価を発揮する強靭な生存戦略なのだ。