小椋佳の表現者としての幅広さは、歌謡界にとどまらない。名作アニメ『銀河英雄伝説』シリーズでは、エンディングテーマをはじめとする数々の名曲を担当。壮大な宇宙史と個人の宿命を描いた同作において、彼の重厚で哀愁を帯びた歌声は物語の文学性を決定づける重要な要素となった。
後年、NHKのドキュメンタリー番組や回顧特集などでこれらの楽曲が紹介されるたび、往年のファンのみならず若い世代からも熱狂的な再評価が寄せられている。壮大な宇宙のロマンを歌い上げながらも、根底にあるのは人間存在への愛おしさだ。その温かい視線の源泉には、常に身近で夫を支え、等身大の人間性を取り戻させてくれた家庭のぬくもりがあった。