近年、予防医療や先端的な栄養学の分野で注目を集めているのが、食事が持つ「食事誘発性熱産生(DIT)」の最大化だ。最新の日本栄養・食糧学会の学術大会でも、単にカロリーを摂取するだけでなく、代謝酵素を活性化させて深部体温を直接引き上げる食材の組み合わせが活発に議論されている。
厚生労働省が実施する国民健康・栄養調査のデータを見ても、全世代にわたって手足の冷えや低体温傾向を訴える人の割合は高止まりしている。こうした現状に対し、研究者が改めて注目したのが、日本の伝統的な食卓に根付いていた温性食材の力だ。血流改善にダイレクトに作用し、体温低下を防ぐ主要な食材群の分類は以下の通りである。
第一に挙げられるのが、ゴボウ、レンコン、ニンジンといった根菜類だ。土の中で育つ根菜は水分が少なく、ミネラルとポリフェノールが凝縮している。これらが血管を緩め、末梢血管の血流を滑らかにする。第二に、味噌や醤油、納豆などの発酵食品。腸内細菌の活性化に伴い発酵熱が生まれ、腹部の血流が飛躍的に高まる。そして第三に、トウガラシのカプサイシンや山椒のサンショオールといったスパイス類である。
これらを効果的に組み合わせることで、一時的な表面の発熱ではなく、体内臓器の深部体温を長時間維持する代謝システムが構築できる。冷え性を根本改善するためには、単一の食材を大量に摂るのではなく、これらの温性食材を日々の主食・主菜へバランスよく組み込むことが最も近道となる。