建材の扱いで最も誤解されやすいのが、「固まる時間(硬化)」と「乾燥」のメカニズムです。セメント製品は水分が蒸発して乾くことで固まるのではなく、セメント粒子と水が化学反応(水和反応)を起こして結晶化することで硬化します。
気温20℃の標準環境下において、モルタルを練り混ぜてから形を整えられる「可使時間(作業可能時間)」は約30分〜1時間です。初期硬化が始まるまでに数時間、人が歩行できる初期強度に達するまで約24時間〜48時間を要します。設計基準強度を発揮するまでには約28日間(材齢28日)の湿潤養生が必要です。
現場の左官工事において、モルタルを塗る厚み(塗り厚)の管理は耐久性を担保する生命線となります。1回の工程で塗る厚みは10mm〜15mm程度が標準とされ、一度に20mmを超える厚塗りをすると、自重によるダレや内部の硬化不良、激しい乾燥収縮ひび割れの原因になります。厚みが必要な床面や壁面では、下塗り・中塗り・上塗りと複数回に分けて塗り重ねるのが現場の定石です。