すべての黄斑上膜患者が今すぐ手術台に上がるべきかといえば、決してそうではありません。外科手術である以上、数千人に1人の割合で起こり得る眼内炎(感染症)や網膜剥離といった合併症のリスクはゼロにはならないからです。
現場の治療方針を総括すると、判断基準は明確に2分されます。
▼手術を前向きに決断すべき人の条件
- 片目で見た際に、仕事や家事、読書に支障が出るレベルの変視症(歪み)がある
- 矯正視力が0.8未満に低下し始めている、または半年ごとの検査で数値が悪化傾向にある
- すでに初期の白内障があり、将来的に両方の手術が必要になると予測される50代以上
- 精密作業や車の運転など、両眼視の立体感が日常生活や職業上不可欠である
▼慎重に経過観察を続けるべき人の条件
- 定期検診で偶然見つかっただけで、両目で生活している分には全く違和感がない
- アムスラーチャート検査を行っても、わずかな歪みのみで進行が完全に止まっている
- 矯正視力が1.0以上をキープしており、網膜断面の変形が軽微である
- 基礎疾患や全身状態により、うつ伏せ姿勢の維持や術後の安静が著しく困難である
自身の現在のステージがどちらに該当するのかを、光干渉断層計(OCT)の断層画像を見ながら主治医と冷静に突き合わせることが、後悔のない治療選択における鉄則です。