「病院に行くのが少しだけ苦じゃなくなった」――都内の調剤薬局を訪れた30代の女性はそう語る。慢性の持病を抱え、月に一度の通院が欠かせない彼女にとって、以前渡された素っ気ない冊子は「自分が病気であること」を突きつけられる記号でしかなかったという。
行動心理学の観点からも、ポジティブな感情を引き出すデザインの効果が指摘されている。お気に入りのイラストや肌触りの良い用紙は、無意識のうちに通院や服薬に伴う不安・恐怖感を軽減するアンカー(心理的繋ぎ止め)として機能する。特に、長期間の治療を余儀なくされる小児科患者や慢性疾患の患者にとって、手帳を開くこと自体に小さな楽しみを見出せる環境は、精神的なサポートとして極めて大きな意味を持っている。