かつて学校の画用紙で親しまれた「肌色」という呼称は、多様性への配慮や色の正確な表現を追求する中で「ペールオレンジ」や「うすだいだい」へと名を変えた。しかし、画材店で手に入るペールオレンジをそのまま顔全体に塗ってしまうと、どうしても人形のような不自然さや平坦さが残ってしまう。
生きた人間の肌を観察すると、おでこや頬、鼻先、顎の下でそれぞれ異なる色相が潜んでいることがわかる。単色の絵の具に頼るのではなく、複数の基本色を混ぜ合わせて「自分だけの肌色」を調合することこそが、絵画の説得力を跳ね上げる第一歩となる。