「山形のくだものがなぜ旨いのか」。その答えは長年、昼夜の強烈な寒暖差にあった。昼間の太陽光で十分な糖分を蓄え、夜間の冷え込みでその糖分を消費せずに果実に閉じ微細な味わいを育む。しかし、近年の夜間気温の上昇(熱帯夜の増加)が、この黄金パターンを揺るがしつつある。特に「佐藤錦」に代表されるさくらんぼや、秋の味覚であるラ・フランスの栽培現場では、かつてない警戒感が広がっている。
春先の急激な気温上昇による開花期の前倒しと、その直後に襲いかかる遅霜。この「ジェットコースター気候」に対し、東根市や天童市の農家たちは最新の散水氷結法や大型ファンによる送風対策を導入し、危機を乗り越えようと必死の模索を続けている。気象予測のわずか1度の狂いが数千万円単位の損害をもたらすため、農業現場での高精度なピンポイント天気情報の需要はかつてないほど高まっている。