この楽曲は、槇原敬之本人の失恋体験をそのまま綴ったものではない。実は、当時親しくしていた友人が失恋し、ひどく落ち込んでいた姿を励ますために書き下ろされたという意外な制作背景が存在する。「失恋した男のリアルな一人暮らし」を克明に描写しながら、タイトルにある強がりと裏腹の優しさを紡ぎ出したのだ。
歌詞の最大の特徴は、徹底的なディテールの積み重ねにある。紅茶のありかが分からない戸惑い、自分好みに作れなくなった朝食の味気なさ。失った存在の大きさは、大げさな愛の言葉ではなく、生活の些細な不便さとして突きつけられる。最後のサビで繰り返される「もう恋なんてしないなんて 言わないよ 絶対」という二重否定のフレーズは、絶望の淵から這い上がろうとする人間のリアルな回復プロセスそのものだ。強がりながらも前を向くその眼差しこそが、今なお人々の涙を誘う核心となっている。