主人公・本田透の存在は、アニメーション表現におけるヒロイン像のひとつの到達点と言っていい。彼女の優しさは決して無謬の聖母のような強さから来るものではない。母親を失った深い喪失感と孤独を抱えているからこそ、他者の痛みに敏感に寄り添うことができるのだ。声優の石見舞菜香は、透の儚さと芯の強さを繊細な息遣いで表現し、キャラクターに圧倒的な命を吹き込んだ。
シリーズ完結編である『フルーツバスケット The Final』において、幾重にも絡み合った草摩家の呪縛はついに解散を迎える。呪いが解ける瞬間に描かれるのは、歓喜だけではない。長年寄りかかってきた歪な絆を失う喪失の恐怖さえも描ききったクライマックスは、アニメ史上に残る名場面として語り草となっている。