インターネット上の掲示板やSNSでは、「NHKがSTARTO社を完全に締め出している(出禁)」という言説と、「事務所側が意趣返しとして一方的に拒否している(辞退)」という極端な二項対立で語られがちです。しかし、業界の内実を精査すると、この見方は事実に即していません。
最大の盲点は、これが「プラットフォーム依存からの脱却に伴う契約交渉の難航」であるという点です。旧事務所時代は、テレビ局との強固なパイプとバーター出演を軸にした囲い込み戦略が機能していました。しかし新会社STARTO ENTERTAINMENTは、個々のタレントの意向を尊重するエージェント契約制を導入しています。
マネジメント側が「タレントのメンタルヘルスやブランド価値を守るために、条件が折り合わないオファーは毅然と断る」姿勢に舵を切った結果、旧来の慣習で動こうとするテレビ局側との間でキャスティングの力学が変化しました。誰かが一方的に排除した・されたという単純な話ではなく、ビジネスにおける対等なパートナーシップが構築途上であるがゆえの膠着状態であると捉えるのが正確です。