太陽系の最外郭に位置する巨大氷惑星の2基、「天王星(Uranus)」と「海王星(Neptune)」には、命名の歴史における興味深い例外と、英語学習者が最も気をつけるべきスペルの罠が存在します。
1781年、イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルによって天王星が発見された際、彼は当時のイギリス国王ジョージ3世に敬意を表し「Georgium Sidus(ジョージの星)」と名付けようとしました。しかし、イギリス以外の国際天文学コミュニティから猛反発を受け、最終的にドイツの天文学者ヨハン・ボーデの提案が採用されることになります。
ボーデは「木星(ジュピター)の父は土星(サターン)であるから、土星の外側にある星は、土星の父である天空神の名を付けるべきだ」と提唱しました。ところが、ここで1つのねじれが生じます。土星の父にあたる天空神として選ばれた「Uranus(ウラノス)」は、ローマ神話ではなくギリシャ神話の神だったのです。ローマ神話に対応する神(カエルス)ではなくギリシャ神話の神名がそのまま採用されたため、天王星は8大惑星の中で唯一、ギリシャ神話由来の名前を持つ例外的な惑星となりました。
また、Uranusのスペルと発音には特有の注意点が必要です。第1音節にアクセントを置いて「ˈjʊərənəs(ユラナス)」と発音するのが標準的ですが、第2音節にアクセントを置いて「jʊˈreɪnəs(ユアレイナス)」と読まれることもあります。英語圏では「Your anus(あなたのお尻の穴)」と発音が酷似していることから、子ども向けの冗談やスラングのネタにされやすいという文化的な背景があり、科学ドキュメンタリーのアナウンサーなども発音の明瞭さには細心の注意を払っています。
一方、1846年に計算による予測を経て発見された海王星(Neptune)は、ローマ神話の海の神「ネプトゥヌス(Neptunus)」の英語形です。望遠鏡で観測した際に、大気中に含まれるメタンによって深いコバルトブルーに輝いて見えたことから、即座に海の神の名が与えられました。スペルの末尾にある発音しない「e」を落として「Neptun」と書き間違えるミスが多発するため、試験やビジネスで表記する際は注意してください。