なぜ絵を演奏するのか?図形楽譜の読み方と現代音楽の歴史を徹底解読

なぜ絵を演奏するのか?図形楽譜の読み方と現代音楽の歴史を徹底解読

なぜ絵を演奏するのか?図形楽譜の読み方と現代音楽の歴史を徹底解読とはどのようなものなのか? 専門的な分析を丁寧に紐解いて紹介します。

図形楽譜は、クラシック音楽に親しみのない層にとっても強烈な視覚的インパクトを与えます。YouTubeやX(旧Twitter)などのソーシャルメディア上では、定期的に図形楽譜の画像や実演動画が拡散され、大きなバズを巻き起こしています。

ネット上の反応を検証すると、驚きとユーモアが入り混じったリアルな声が多数を占めています。

  • 「初見殺しどころの騒ぎじゃない。視力検査の気球の絵かと思った」
  • 「猫が五線紙の上をインク足で走り回った跡と言われた方が信じられる」
  • 「部屋に飾りたいくらい格好いいけれど、これが何億通りの音になるのか想像もつかない」
  • 「現代音楽のコンサートで真剣にこの幾何学を見つめながらノイズを奏でる演奏家の集中力に圧倒された」

ネット上では一見「面白ネタ」として消費されがちな図形楽譜ですが、クラシック実演奏家の現場からは全く異なる切実な声が聞かれます。第一線で活躍する現代音楽専門のピアニストは、手記やインタビューで次のように語っています。「五線譜は制約が多い分、演奏者はある意味で楽譜に守られている。しかし図形楽譜は、演奏者の音楽的教養、音色のボキャブラリー、構成力が一瞬で丸裸にされる。自由を与えられることほど残酷で恐ろしい試験はない」。

さらに現在、この図形楽譜が思わぬ場所で脚光を浴びています。文部科学省の学習指導要領に基づく、小学校や中学校の「創作(音楽づくり)」の教育現場です。

従来の音楽教育では、「オタマジャクシ(音符)が読めない・書けない」という記譜の壁が、子どもたちの自由な音作りを阻む大きな要因になっていました。そこで導入されているのが、身近な音(風の音、雨だれ、足音、感情のざわめき)を波線や水玉、ギザギザの図形で紙に描き出し、トライアングルや太鼓、木琴、リコーダーで音にする「図形楽譜づくり」の授業です。楽典の知識がなくても直感的にアンサンブルを構築できるため、創造性と他者との対話力を育むアクティブ・ラーニングの有力なツールとして定着しています。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。