保存料に対する最大の懸念として挙げられるのが「発がん性の噂」や「アレルギー・子供への悪影響」です。特にソーセージやハムなどの加工肉、清涼飲料水に含まれる指定添加物に対して警戒感を強める消費者は少なくありません。
厚生労働省および食品安全委員会では、生涯にわたり毎日摂取し続けても健康への悪影響がないとされる一日摂取許容量(ADI)を動物実験の無毒性量(NOAEL)に安全係数(通常100分の1)を掛けて設定しています。国内のマーケットバスケット調査(実際に流通している食品を購入して分析する調査)によると、日本人の平均的な保存料摂取量はADIの1%未満〜数%程度にとどまっており、通常食生活における安全性は極めて強固に担保されています。
ただし、特定の化合物同士が化学反応を起こすリスクについては注意深いモニタリングが続けられてきました。代表例が以下の2大保存料をめぐる科学的ファクトです。
① ソルビン酸カリウム:
チーズ、かまぼこ、ジャムなどに広く使用される不飽和脂肪酸化合物です。体内で脂肪酸と同様に二酸化炭素と水に速やかに代謝されます。単体での発がん性は否定されていますが、加工肉に含まれる発色剤(亜硝酸ナトリウム)と高熱環境下で結びついた際の副生成物について過去に議論がなされ、現在では使用基準と組み合わせの安全上限が厳密に定められています。
② 安息香酸ナトリウム:
主に酸性の炭酸飲料やシロップ剤などで使われる保存料です。ビタミンC(アスコルビン酸)と共存した際に微量のベンゼン(発がん性物質)を生成する可能性が過去に国際機関で指摘されました。現在では製造工程の改良および品質管理基準の徹底により、飲料中のベンゼン生成リスクは水道水の水質基準値以下に抑えられています。
子供への健康影響に関しても、ADIそのものが体重1kgあたりで換算されるため、体重が軽い乳幼児であっても基準値の枠組みが自動的に適用されます。科学的見地から見れば、保存料そのものよりも「食中毒菌(サルモネラ菌やボツリヌス菌など)の増殖による急性毒性リスク」の方が圧倒的に生命を脅かす危険度が高いと評価されています。