気象庁の震度階級において、観測史上初めて「震度7」が正式適用された阪神淡路大震災。当時最も謎とされたのが、断層の直上そのものではなく、六甲山麓から大阪湾側へ約1キロメートルほど南東に離れた、JR神戸線や阪神本線が走る東西の狭い帯状エリア(幅約1キロメートル、長さ約20キロメートル)に家屋倒壊が極端に集中した点でした。この特異なゾーンは「震度7の帯(震災の帯)」と呼ばれています。
その後の詳細な地球物理学的研究により、震度7の帯理由には地盤構造の複合要因が存在していたことが証明されました。
第1の要因は、「盆地端部効果(エッジ効果)」です。硬い六甲山の花崗岩地盤と、神戸市街地が乗る軟弱な沖積平野の地層との境界部分で、地下から斜めに進入した地震波が複雑に屈折・干渉し合いました。これにより、地表付近で特定の波が重ね合わされ、エネルギーが局所的に増幅されたのです。
第2の要因が、周期1秒から2秒前後の強い揺れである「キラーパルス」の発生です。この周期の揺れは、日本の伝統的な木造家屋(2階建て住宅や長屋)の固有周期と完全に一致していました。建物が揺れの波と共振を起こし、揺れ始めからわずか数往復で柱のホゾ抜けや1階部分の座屈を引き起こし、瞬く間に建物を圧壊させたのです。このメカニズムの解明は、その後の建築基準法改正(2000年の耐震基準強化・接合具の指定)に直結することとなりました。