予言と並んでネット上で信じられやすいのが、自然界の異変とされる「宏観異常現象(こうかんいじょうげんしょう)」です。「放射状に広がる帯状の雲を見た」「ナマズが暴れた」「カラスが一斉に鳴き叫んだ」といった報告は、地震の直前になると決まって注目を集めます。
まず、地震雲の真相について気象庁や気象研究所は明確な見解を示しています。雲は大気中の水蒸気が気温低下によって凝結する純粋な大気物理現象であり、地下数十キロメートルで発生する断層の破壊現象が直接特定の雲を作り出すメカニズムは科学的に確認されていません。ネット上で「地震雲」として拡散される写真の多くは、巻雲、高積雲、あるいは風の影響で発生するレンズ雲や波状雲など、日常的に観測される気象現象に過ぎません。
また、動物の異常行動や電磁波の異常についても研究が進められていますが、地震発生との間に明確かつ再現性のある因果関係は見出されていません。動物は天候の変化、気圧、騒音、体調など無数の要因で普段と異なる動きを見せます。地震予知の科学的根拠として公的に認められるレベルの宏観異常現象は、現在の地球科学において一つも存在しないのが現実です。