サブスク全盛の時代において、突如として音源が消失するという体験は、市井の音楽ファンにどのような行動変容をもたらしたのでしょうか。SNSコミュニティやCDレンタル現場の動向を追うと、非常に興味深い「フィジカル(CD)への大回帰現象」が浮き彫りになります。
大手知恵袋サイトやXの投稿を精査すると、引退前後の世代のみならず、後追いで彼女の魅力に気づいたZ世代のリスナーからも「サブスクで聴けなくなって絶望した」「CDプレイヤーを生まれて初めて買った」という切実な声が数多く投稿されています。都内のCDショップ店員は次のように語ります。
「2023年末から2024年にかけて、中古CDコーナーで安室奈美恵さんの棚を熱心に探す10代から20代前半のお客様が目に見えて増えました。特にオールタイム・ベストアルバムの『Finally』は、入荷しても即座に売れていく状態が長く続きました。サブスクは便利ですが、権利者の都合で明日消えるかもしれないというリスクを、若い世代が身をもって実感した出来事だったと言えます」
現在、最も多くのファンに選ばれている解決策は、宅配CDレンタルサービスを利用し、届いたCDをパソコン経由でスマートフォンへ取り込むという手法です。一度ローカル端末に保存してしまえば、配信プラットフォーム側の権利都合による削除に怯えることなく、高音質な音源を生涯にわたって確実に楽しむことができます。デジタルネイティブ層が物理メディアの確実性に立ち返るという、逆転現象が現実のものとなっています。