長年、渋谷東口の顔として君臨していたビックカメラ渋谷東口店本館が営業終了を迎えたのは2022年1月10日のことでした。地下1階から地上5階までを占有し、あらゆる生活家電からプロ仕様のカメラ機材、パソコン周辺機器までを取り揃えていた大型店舗の幕引きは、当時の利用者に小さくない衝撃を与えました。
取材および公式発表資料によると、本館の閉館理由における最大の要因は「入居先である渋谷東映プラザとの定期建物賃貸借契約の満了」です。1990年代前半から同ビルのキーテナントとして営業を続けてきましたが、ビルの老朽化対策や耐震補強、さらには東映グループ全体の資産見直しが重なる時期に直面していました。同ビル上層階の老舗映画館「渋谷TOEI」も2022年12月に69年の歴史に幕を下ろしており、建物全体の機能再編が背景にあったことは明白です。
さらに見逃せないのが、東急グループやJR東日本、都市再生機構などが主導する「渋谷駅街区再開発」の本格化に伴う人の流れの変化です。かつての東急東横線地上駅や旧東急百貨店東横店が存在した時代、東口広場から明治通りを渡る歩行者動線はビックカメラ本館の目の前を直撃していました。しかし、地下駅への移行、渋谷ヒカリエの開業、宮下公園の「MIYASHITA PARK」への刷新、さらには歩行者デッキ網の立体化によって地上レベルの歩行者回遊動線が分散。商業ビルとしての立地価値が再定義を迫られる局面を迎えていたのです。