『あなたがいることで』の制作背景を語るうえで欠かせないのが、作詞・作曲を手掛けたUruと、編曲を担当した音楽プロデューサー・小林武史の化学反応です。当時、デジタルシングルとして先行配信された際の公式リリース資料によると、Uruは原作漫画とドラマの脚本を徹底的に読み込み、主人公・田村心(竹内涼真)が背負う絶望的な孤独と、それでも手放せない希望を自らの内側へと取り込んでメロディを紡ぎ出しました。
小林武史といえば、Mr.ChildrenやMy Little Loverなど数々の金字塔を打ち立ててきた名匠です。その彼が本作で施したアレンジは、静謐なピアノの独奏から徐々にストリングスが重なり、後半にかけて激情のうねりを生み出すという、映画音楽にも通じる重厚なダイナミズムでした。当時の音楽メディアのインタビュー取材においてUruは、「自分一人では到達できなかった壮大な景色を、小林武史さんのアレンジが見せてくれた」と述懐しています。
竹内涼真が主演を務めた日曜劇場『テセウスの船』の主題歌としてオファーを受けた際、制作陣から求められたのは「どれほど暗い闇の中にいても、一条の光が見えるような祈りの歌」でした。音源の配信開始ニュースが駆け巡った2020年2月9日以降、各種配信チャートで軒並み1位を記録した事実は、彼女の紡いだ祈りが視聴者の渇望と寸分の狂いもなく合致した動かぬ証拠といえます。