教育現場から消え去ったことで生じている摩擦は、オフィスや日常生活の至るところで観察されます。ソーシャルメディアや大手コミュニティサイトを定点観測すると、世代間における深刻な「手書き文字ギャップ」が浮き彫りになっています。
大手旅行会社や金融機関の窓口関係者が明かす現場のリアルとして、クレジットカードの裏面や海外渡航時の出入国カード、パスポートの署名欄でペンを止めてしまう若年層の姿があります。「かっこいい筆記体でサインしたいが、書き方が分からない」「ブロック体で名前を書いたら『これはサインではない』と海外のホテルで怪訝な顔をされた」という相談は知恵袋やSNSでも後を絶ちません。
一方で、ビジネス現場では逆の摩擦も多発しています。50代以上の上司が若手社員に向けて残した筆記体混じりの手書きメモに対し、「なんて書いてあるのか暗号のようで全く解読できない」という悲鳴が投稿され、数万件のリポストを集める事例が頻発。筆記体特有の続け字である「r」「s」「z」や、大文字の「G」「I」「J」は、ブロック体しか学んでこなかった世代にとって未知の記号に等しいのが実情です。
ネット上の反応を分類すると、次の3つの潮流が見て取れます。
- 実利主義派(20代〜30代中心):「メールもチャットもテキストデータが基本の時代に、読みにくい手書き文字をわざわざ使う必然性がない。ブロック体の方がOCR認識もしやすく誤読事故も防げる」
- 後悔・憧れ派(20代の一部):「カフェの看板や海外ブランドのロゴ、英字グリーティングカードをおしゃれに書きこなしたい。学校で基本だけでも教えてほしかった」
- 文化継承派(40代以上・教育関係者):「手書きの筆跡には書き手の個性が宿る。流麗なサインが書けないのは国際人としてやや寂しいのではないか」