なぜ実在しない「HARBS松坂屋高槻店」という架空の存在が、あたかも実在するかのようにネット上で語り継がれてしまったのか。この背景には、現代のデジタル情報空間が抱える心理的認知バイアスとアルゴリズムの共謀があります。
情報社会学における「確証バイアス」の観点から見ると、人間は「こうあってほしい」という願望を持つと、それに合致する情報ばかりを記憶・増幅させる性質があります。「高槻のような洗練された北摂の住宅都市なら、松坂屋にHARBSが入っていても全く不自然ではない」という住民の潜在的期待がまず下地としてありました。
さらに、Web上のキュレーションメディアや個人ブログが、十分な裏付け調査を行わないまま「松坂屋のおすすめカフェ特集」と銘打ち、名古屋の松坂屋にあるHARBSの情報と高槻店のフロア情報を混同して掲載してしまった事例が過去に確認されています。この誤った一次データがまとめサイトや自動生成コンテンツ(スクレイピングサイト)に転載・拡散され、「高槻店にもハーブスがある」という集団的誤認がネット空間に定着してしまったのです。
一次情報を確認する鉄則は、常に運営企業の公式店舗リスト(オフィシャルサイトのShop List)を直接参照することです。検索結果のトップに出てくる断片的な要約スニペットだけを鵜呑みにすると、実際には存在しない店舗を目指して現地を訪れてしまい、貴重な休日を無駄にしかねません。