ネット上の掲示板やSNSでは「バックタービンは違法だから車検に通らない」という断定的な書き込みが散見されます。しかし、道路運送車両法の保安基準を精査すると、そこには意外な法規のパラドックスが存在します。
大気開放ブローオフは違法、バックタービンは原則合法?
道路運送車両の保安基準第31条(有毒なガス等の発散防止装置)および第18条において、クランクケースから生じるブローバイガスを大気中に放出してはならないと厳格に定められています。アフターマーケット製の大気開放型ブローオフバルブが車検不合格となる理由は、「プシュー」という作動音の際に配管内に微量に含まれるオイルミストや未燃焼ガスを車外へ排出してしまうためです。
これに対し、バックタービンは過給気をどこにも排出せず、吸気管路(エアクリーナーボックス内部)に封じ込めたまま逆流させています。すなわち、有害ガスを一切大気開放していないため、排ガス規制の文脈においてバックタービンそのものに直接的な違法性はありません。
検査場で落とされる「二次的な落とし穴」
法的に密閉構造を維持しているからといって、無条件で車検をパスできるとは限りません。現場の検査員が不適合と判断する具体的なリスク要因は次の3点に集約されます。
- エアクリーナー剥き出しによる近接騒音・車外騒音基準の超過:バックタービン音を響かせるためにオープン型エアクリーナーを装着している場合、吸気騒音が厳格化された騒音基準を突破してしまうケース。
- エアフロメーターの吹き返しによる排ガス濃度異常:ホットワイヤー式エアフロメーターを採用している車種(日産・スバル等)では、逆流した空気がセンサーを二重に通過することでECUが「空気が大量に入ってきた」と誤認。燃料を過剰噴射して不完全燃焼を起こし、アイドリング時のCO/HC濃度検査で不合格となるトラブル。
- 配管固定不良や突起物規制:後述するブローオフキャンセル作業時のメクラ栓が粗雑で、燃料配管や可動部に接触している場合の構造的指摘。