ネット上には便の色に関する多種多様な情報が氾濫していますが、中には医療安全上、極めて危険な俗説が含まれています。ここで代表的な2つの誤解を正しておきましょう。
誤解1:「鮮やかな赤い血=痔だから安心」という危険な神話
「便器が真っ赤になるほどの鮮血なら、がんではなく痔に決まっている」という言説が散見されますが、これは医学的な誤謬です。直腸がんが肛門近傍にできた場合、そこからの出血は胃酸や大腸菌の影響を受けないため、痔と全く区別がつかない鮮やかな赤色を呈します。大腸がん初期症状と便の色の真相を言えば、早期がんでは肉眼的な便の色の変化はほとんど現れません。肉眼で赤いと分かる段階では、病変が大きくなり便が擦れて出血している可能性があるため、「痔持ちだから」と自己判断して検査を先送りするのは致命的な過失となります。
誤解2:「鉄剤やサプリメントを飲んでいるから黒いだけ」の油断
確かに、貧血治療で処方される鉄剤(フェロミア等)や、ブルーベリー、イカスミ、活性炭サプリメントを摂取すると便は黒くなります。しかし、服用を中止しても数日以上黒い便が続く場合や、胃の不快感、立ちくらみ、動悸を伴う場合は、薬剤による着色ではなく本物の消化管出血を疑わなければなりません。鉄剤による便は通常、無臭に近くタール状のツヤはありませんが、胃潰瘍によるタール便は独特の生臭い悪臭を放ちます。