路側帯の法的な根拠は、道路交通法第2条第1項第3号の4に明記されている。条文では「歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によつて区画されたもの」と定義されている。
この条文を分解すると、路側帯が成立するための絶対条件が浮かび上がる。それは「歩道が設けられていないこと」である。道路の左側にすでに歩道が存在している場合、その車道寄りにどれほど広いスペースや白線があろうと、それは法的な「路側帯」ではない。この原則こそが、多くのドライバーが陥る混乱の根本原因となっている。
さらに日常会話では同義語のように使われる「歩道」や「路肩(ろかた)」とも、管轄する法律や役割が明確に異なる。
「歩道」は縁石や柵、ガードレールといった物理的な工作物によって車道と構造的に区切られた道路部分を指す。これに対し路側帯は、物理的な段差がなく、路面にペイントされた道路標示(ペイント線)のみで区切られているに過ぎない。
一方、「路肩」は道路交通法ではなく「道路構造令」という道路整備の技術基準を定めた法令に基づく概念である。路肩は道路の主要構造部を保護し、側壁や排水溝を保全するための余白スペースとして設置される。つまり、路肩が「道路という土木構造物を守るための物理的余白」であるのに対し、路側帯は「歩行者の安全を守るために引かれた交通規制上のゾーン」という決定的な違いがある。