冬用パンツを選ぶ際、多くの消費者が「毛足が長くて分厚いものほど優れている」という思い込みに囚われがちです。しかし、繊維工学の観点および日常の実用面から見ると、これは大きな盲点です。
毛足が2.5ミリを超える極厚ボアパンツは、氷点下の屋外では優れた防寒性を発揮しますが、暖房の効いた電車やオフィス、商業施設に入った瞬間に衣服内湿度が90%を超え、蒸れと発汗を引き起こします。かいた汗を裏起毛が吸湿しきれなくなると、再び外に出た際に「汗冷え」を起こし、かえって下半身の芯まで冷え切ってしまう現象が発生します。
さらに、安価な裏起毛パンツに見られる最大の落とし穴が「洗濯耐性の低さ」です。化学繊維の毛先が摩擦によって絡まり合い、数回の洗濯で起毛がフェルト状にペタッと寝てしまう事例が後を絶ちません。起毛が寝てしまうと、熱を蓄えるデッドエア層が消失し、購入時の半分程度の暖かさに激減します。製品表示を確認し、「抗ピリング(毛玉防止)加工」や「裏糸に熱融着糸を使用した高密度フリース」を採用しているモデルを選ぶことが、2シーズン以上美しく着用するための隠れた必須条件です。