古文には「さぶらう」と似た役割を持つ敬語動詞として「はべる(侍り)」や「そうろう(候ふ)」が存在します。これらのニュアンスの違いと使い分けを整理しておくと、古典作品の情景や執筆年代がより鮮明に理解できます。
■ 「さぶらう」と「はべる」の違い
平安時代の宮廷社会において、日常的な私的会話や女性の語り口(『源氏物語』など)では「はべる」が多用されました。対して「さぶらう」は、公的な場面や男性貴族の日記・改まった会話で用いられる傾向が強く、より重々しい敬意を含んでいました。
■ 「さぶらう」と「候ふ(そうろう)」の違い
中世(鎌倉・室町時代)に入ると、「さぶらふ」がウ音便化して「そうろう(候ふ)」へと変化します。『平家物語』や軍記物語、さらには武士の手紙(候文)において、公私を問わず圧倒的な標準語として用いられるようになったのが「候ふ」です。「さぶらう」の中世版・発展形が「候ふ」であると捉えるとスムーズです。