賞味期限切れの卵を扱う際、最も警戒すべきはサルモネラ菌(Salmonella Enteritidis)による食中毒の危険性です。サルモネラ菌に感染すると、半日から数日の潜伏期間を経て、激しい腹痛、下痢、高熱、嘔吐などの急性胃腸炎症状を引き起こします。特に乳幼児や高齢者、免疫力が低下している方は重症化するリスクがあります。
鶏卵におけるサルモネラ菌の汚染率は極めて低く(数千個から数万個に1個程度とされています)、通常は卵白に含まれる天然の抗菌酵素「リゾチーム」によって菌の増殖が抑えられています。しかし、保管期間が長くなると卵黄膜が弱まり、栄養豊富な卵黄内へ菌が侵入して急激に増殖を始めます。
菌の増殖リスクを無効化する鍵となるのが「温度管理」と「加熱殺菌」です。サルモネラ菌は熱に弱く、中心温度70℃で1分以上、または75℃で1分以上の加熱によって死滅します。賞味期限を過ぎた卵を調理する際は、黄身の中心までしっかりと固まるウェルダン調理を徹底することが、安全を確保するための鉄則です。