特撮ソングの枠を超え、幅広い世代を虜にし続ける『トッキュウジャーの歌』。その背景には、単なる「子ども向けヒーローソング」にとどまらない、音楽制作陣の徹底したこだわりと作品構造のリンクが存在します。大人のリスナーをも唸らせる音楽的引力は、主に3つの要素に集約されます。
第1の引力は、「列車の疾走感を忠実に再現したBPMとブラスロック構成」です。主題歌『烈車戦隊トッキュウジャー』は、作詞を渡部紫緒氏、作曲・編曲を気鋭の作曲家・坂部剛氏が担当。イントロの汽笛を想起させるブラスサウンドとタイトなドラムビートが、聴き手を一瞬で「イマジネーションのレール」へと引き込みます。キャッチーでありながら、ベースラインのうねりやサビへの転調展開など、大人の音楽リスナーがリピートしたくなる緻密なアレンジが施されています。
第2の引力は、「歌詞に込められた光と影の二重構造」です。トッキュウジャーの物語は、「故郷を闇に呑まれ、子どもから大人の姿に変えられた少年少女たちが記憶を取り戻す旅路路」という切ないバックボーンを持っています。歌詞の中に散りばめられた「乗り遅れにご注意」「見えないものを見ようとする力」というフレーズは、大人になるにつれて忘れがちな純粋な童心や探究心を鮮やかに呼び覚まします。
第3の引力は、「劇中での効果的な音楽演出(スコア連携)」です。羽岡佳氏が手がけたサウンドトラックの劇伴モチーフがオープニングや挿入歌と有機的に連動し、戦闘シーンのクライマックスや感動的なドラマパートで流れることで、視聴者の感情を極限まで高揚させる設計がなされていました。