生理前の胸の張りは、早い人では排卵直後である生理の約2週間前、多くは生理開始の7〜10日前から自覚され始めます。この時期は女性の月経周期における「黄体期」に該当します。
胸が張る最大の要因は、排卵を境に卵巣から急激に分泌される女性ホルモン「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の働きです。プロゲステロンには受精卵の着床に備えて乳腺組織(特に腺房)を発達・増殖させる作用に加え、体内に水分や塩分を蓄え込ませる保水作用があります。この二重の働きによって乳腺が膨張し、周囲の血管や神経を圧迫することで、張りや特有の鈍痛が生じます。これがいわゆる月経前症候群(PMS)における胸の痛みの正体です。
胸の張りが最も強くなるピーク時期は、プロゲステロンの血中濃度が最高潮に達し、その後低下し始める「生理開始の2〜3日前」です。胸全体が重く熱を帯びたように感じられ、うつ伏せで寝るのが苦痛になるのもこのタイミングに集中します。
その後、妊娠が成立していなければ黄体は退縮し、プロゲステロンの分泌量は急降下します。それに伴い、乳腺の鬱血やむくみも急速に引いていくため、生理が始まった当日、あるいは開始後2〜3日以内にはスッと胸の張りが治まるのが正常な生体リズムです。