大手ネットオークションやフリマアプリにおけるserial experiments lain ゲーム相場の推移を辿ると、この作品がいかに特異な軌跡を描いてきたかが浮き彫りになります。2000年代半ばの中古ショップにおいて、本作は知る人ぞ知る名作として5,000円から8,000円前後で棚に並んでいました。一般的な中古PS1ソフトが数百円で投げ売りされていた当時としては高値でしたが、まだ手の届く範囲にとどまっていたのです。
潮目が劇的に変化したのは2018年の作品誕生20周年、そして2020年代初頭のパンデミック期でした。自宅で過ごす時間が増えた世界中のオタクコミュニティで90年代サイバーパンクの再評価が加速し、PS版lainプレミア高騰の経緯は一気に急勾配を描き始めます。2019年頃に3万〜4万円台だった取引相場は、2022年に7万円を突破。そして2024年から2026年にかけて、状態の良い帯付き・ハガキ付きの完品であれば12万〜16万円、未開封品であれば25万円以上の値がつく市場環境が定着しました。
ゲームショップ関係者は「店頭に並んだ瞬間にインバウンドの外国人観光客や国内コレクターが即決で購入していくため、棚に滞留することがほぼない」と証言します。投機対象としての側面だけでなく、熱烈な信奉者が一度手に入れたら手放さない「永久コレクション化」が、市場在庫の完全な蒸発を引き起こしています。