ダイバーや水族館ファンの間で頻繁に議論を呼ぶのが、「イトマキエイ」と「マンタ」は同じ魚なのか、それとも違うのかという疑問です。
結論から言うと、「マンタはイトマキエイ属の一部であるが、標準和名イトマキエイ(Mobula mobular)という別種が存在する」というのが正確な事実です。ここを混同しているネット上の解説記事が非常に多く見受けられます。
和名で単に「イトマキエイ」と呼ばれる魚は、マンタ(ナンヨウマンタやオニイトマキエイ)と極めて近縁ですが、決定的な違いが存在します。
- 口の位置の差異:マンタの口は前述の通り「真正面(頭の先端)」についています。しかし、標準和名のイトマキエイは、口が体の「やや下方(下側)」についています。正面から見たときに口の穴がはっきり見えず、下側に引っ込んでいるのがイトマキエイです。
- 頭鰭の巻き方:イトマキエイは頭鰭の先が尖っており、糸巻きの芯のように鋭角的にカールします。マンタの頭鰭は幅広く、へらのように丸みを帯びています。
- サイズ感:マンタが4〜7メートルに達するのに対し、イトマキエイは大きくても2〜3メートル前後にとどまります。
また、日本近海で時に大群を作って水面を跳び跳ね、ニュースになるのは「イトマキエイ」であることが多く、小魚を追って群れで回遊します。この繊細な違いを知っておくと、水族館の解説パネルを見る目が格段に深まります。