田中実さんという俳優を語る上で欠かせないのが、観る者の心を包み込むような温かいリーダーシップと包容力です。1990年のNHK連続テレビ小説『凛凛と』で主演を務めて一躍全国区の知名度を獲得して以来、数々のドラマや舞台で確固たる存在感を示してきました。
TBS系の昼ドラブームを牽引した『温泉へ行こう』シリーズでは、加藤貴子さん演じるヒロインを支える支配人・武野慎吾役を好演。不器用ながらも優しく旅館をまとめる姿は、多くの視聴者を虜にしました。
そして特撮ファンの間で不朽の名作として語り継がれているのが、2006年放送の『ウルトラマンメビウス』におけるCREW GUYSの迫水真吾隊長役です。「了解(ラジャー)!」の決め台詞とともに、若い隊員たちの成長を温かく見守り、時に自ら危険に飛び込んでいく理想の上司像は、田中さんの持つ誠実な人間性と完璧にシンクロしていました。劇中で見せたあの穏やかな笑顔の裏で苦悩を抱えていた事実は、今なお多くのファンの胸を締め付けます。