一時代を築いた水戸の角海老が閉店へと向かった背景には、単一の要因ではなく、法規制の強化、経済構造の変化、そしてグループ全体の戦略見直しが重なったことが挙げられます。
第一の要因は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」の度重なる改正と取り締まりの強化です。昭和から平成にかけて、店舗型風俗店に対する立地規制や営業時間の制限、広告規制が段階的に厳罰化され、旧来のような派手な営業スタイルを維持することが極めて困難になりました。
第二に、「暴力団排除条例」の全国的な施行と警察当局による集中摘発です。歓楽街の浄化作戦が全国規模で推進される中、大工町エリア全体に対しても厳しい監視の目が向けられるようになり、グレーゾーンを許容していた歓楽街特有のビジネスモデルが立ち行かなくなりました。
第三に、角海老グループ本体の事業再構築と経営戦略の転換です。創業者の逝去やグループ経営陣の世代交代、さらには東京本拠地を含めた事業の縮小・健全化方針に伴い、地方拠点であった水戸の店舗は整理・撤退の対象となりました。地方経済の縮小に伴う客単価の下落も、撤退の決断を後押ししたと言えます。