『クローズZERO』が巻き起こした熱狂は、映画館の中にとどまらず当時の若者ファッションやライフスタイルにもダイレクトに波及しました。その最たる象徴が、小栗旬が披露したサイドを大胆に刈り上げたツーブロックのオールバックヘア(マンバンスタイル)です。
こめかみから襟足にかけてを深く刈り込み、長さを残したトップの黒髪をウェットな質感で後ろへ流す、あるいは無造作にゴムで束ねるスタイルは、当時のメンズ美容界に革命をもたらしました。全国のヘアサロンで「小栗旬のクローズの髪型にしてください」というオーダーが殺到し、従来のヤンキー像とは一線を画すストリート感とモード感を融合させた新しい男性美の基準を確立したのです。
また、劇中で源治が愛飲していたタバコの銘柄についても、ファンの間で長年熱心に検証されてきました。劇中のディテールや小道具の設定資料によると、源治が手にしていたのは「ナチュラル アメリカン スピリット(通称:アメスピ)」のメンソール(ライトグリーン)や定番のソフトパックでした。無添加タバコとして知られるアメスピの無骨で飾らないイメージは、群れを嫌い己の拳一つで頂点を目指す滝谷源治のキャラクター造形と完璧に合致しており、小道具一つにまで徹底した美学が貫かれていたことが分かります。