午前9時、オフィスに「本日の担当者、感想をお願いします」の声が響く。多くの日本企業で当たり前のように繰り返されてきたこの光景に、いま大きな揺らぎが生じている。入社3年目のWebディレクター(25)は、苦笑いを浮かべながらこう語る。「前日の夜から『明日は何の話をしようか』と気が重くなる。仕事の成果やスキルアップに直結しない精神論に、わざわざ前向きな感想を添えて発表する作業は正直苦痛でしかない」
だが、現場を指揮する50代の部長の捉え方は全く異なる。「短時間で文章を要約し、自分の意見を整理して他者に伝える。これほど実践的なビジネススキルの訓練はないはずだ。何より、同僚がどんな価値観を持っているかを知る貴重な機会になっている」と主張する。タイパと合理性を追求するデジタルネイティブ世代と、対面での情緒的つながりを重んじるベテラン世代。毎朝のわずか数分間が、両者の価値観がぶつかる前線と化している。