ビル閉館と同時期にインターネット上の検索サジェストやSNSで急速に拡散したのが、「株式会社くろちく倒産の噂」でした。しかし、信用調査機関の企業データおよび法人の商業登記を確認すると、株式会社くろちくが倒産・破産したという事実は一切ありません。
ではなぜ、誰もが知る一等地の自社ビルを手放すことになったのか。不動産関係者および流通アナリストへの取材から見えてきた売却理由は、主に以下の3点に集約されます。
- 資産効率の最適化と事業ポートフォリオ再編:固定資産税や維持管理コストが高騰する大型商業ビルを保有し続けるリスクを回避し、キャッシュフローを大幅に改善させる財務戦略。
- 本店・百千足館への経営資源集中:中京区新町通にある登録有形文化財「くろちく百千足館」など、自社ブランドの世界観をより濃密に表現できる歴史的拠点へリソースを集約。
- 京都一等地における不動産評価額の歴史的高騰:祇園町南側という希少立地ゆえに、国内外の開発事業者から極めて有利な売却条件(坪単価の高値提示)が提示されたこと。
つまり、経営破綻による投げ売りではなく、時代の変化を見据えた合理的な資産売却と選択と集中が閉館の真因です。