醍醐寺の秋の夜間拝観におけるクライマックスは、下醍醐の最奥部に位置する「弁天堂(無量寿院)」周辺の水鏡です。朱塗りの弁天堂とお堂を囲むカエデやモミジが池の水面に反射し、まるで合わせ鏡の中に異世界が広がっているかのようなシンメトリーの絶景を創り出します。
風が止んだ瞬間の水面は完全な鏡となり、散策路の拝観者から一斉に感嘆の声が漏れるほどです。弁天堂の手前にかかる太鼓橋と光に照らされた紅葉のコントラストは、京都を代表する名場面のひとつとして写真愛好家からも絶大な支持を得ています。
さらに見逃せないのが、京都府下で現存する最古の木造建築物である国宝「五重塔」(天暦5年・951年建立)と、本尊・薬師如来坐像を安置する国宝「金堂」のライトアップです。昼間の重厚な佇まいとは一変し、漆黒の夜空に浮かび上がる組物の精緻な影や古木の木肌は、創建から千有余年の歴史の深みを無言のうちに物語っています。