市販の制汗剤やセルフケアでは太刀打ちできない激しい発汗に対しては、医療機関(皮膚科・美容皮膚科・多汗症外来)での治療が極めて有効な解決策となります。
医療現場で実績の多い治療法の代表格が「ボツリヌストキシン注射(ボトックス)」です。交感神経から汗腺へ送られる神経伝達物質「アセチルコリン」の放出をブロックすることで、注入箇所の発汗を強力に停止させます。額の生え際や鼻の下、フェイスラインなどに細かく浅く注入する「マイクロボトックス」手法を用いることで、表情筋の動きを損なわずに汗腺の働きだけを鈍らせることが可能です。施術後3〜5日ほどで効果が現れ、約4〜6ヶ月間効果が持続するため、春先から初夏にかけて受ける人が集中します。
一方、身体全体のバランスを整えて自然に発汗を抑えたい場合には、東洋医学に基づく漢方薬が適しています。体質(証)によって処方が明確に分かれます。
- 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):色白でぽっちゃりタイプ、疲れやすく汗をかきやすい「水太り・気虚」タイプに用いられます。余分な水分を排出し、肌のバリア機能を高めます。
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん)/ 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):更年期のホットフラッシュや、イライラ・不安感などの精神的緊張からくる顔汗に適しています。
- 桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう):寝汗や、少し動いただけで顔からじわじわ汗が漏れ出る虚弱体質の改善に処方されます。
漢方薬はドラッグストアでも第2類医薬品として入手可能ですが、婦人科や漢方外来を受診すれば保険適用で体質に合わせた処方を受けられます。