大学を卒業し、社会人としての第一歩を踏み出した佐藤二朗だが、そのサラリーマン生活は驚くべき短さで幕を閉じる。入社式を終えたわずか1日後、「やはり自分にはこの道ではない」と直感し、会社を退職してしまったのだ。この破天荒とも言える決断は、周囲を大いに驚かせた。
そこから始まったのは、過酷な下積み時代だった。アルバイトで食いつなぎながら劇団を立ち上げ、作・演出・出演を自らこなす日々。劇団ユニットでの地道な活動を通じ、彼は自身の足元を徹底的に固めていった。長く暗いトンネルのような時期を支えたのは、「演じることを諦められない」という泥臭くも純粋な情熱だった。