住環境において「熱割れ」の相談が最も集中するのが、内部に金属ワイヤーが格子状や平行に封入された「網入り板ガラス」です。多くの居住者が「ワイヤーが入っているから頑丈で割れにくい防犯ガラスだろう」と誤信していますが、これは根本的な間違いです。網入りガラスは都市計画法や建築基準法に基づく「防火設備(延焼防止)」として開発されたものであり、防犯目的の強化ガラスではありません。
むしろ、網入りガラス熱割れ原因は、まさにその内部ワイヤーの存在にあります。鉄線とガラスでは熱による膨張係数が大きく異なり、日射を受けるとワイヤーがガラス内部で過剰に熱を持ちます。さらに、工場で板ガラスを切断する際、ガラスの端面(エッジ部)に露出した金属ワイヤーの切断面から微細なサビ(錆)が発生し、これがガラス内部を圧迫して微細クラック(傷)を形成します。この傷が弱点となり、単板のフロートガラスに比べて半分程度の温度差(約25℃〜30℃の差)で限界を迎えて割れてしまうのです。
もし自宅の窓に異変を見つけた場合、それが人的破損なのか熱割れなのかを判別する決定打が熱割れヒビの特徴見分け方です。飛来物や打撃による衝撃破片の場合、衝突点を中心に同心円状やクモの巣状の放射ヒビが広がります。一方、熱割れによる亀裂は、必ず「サッシに隠れたガラス端面から直角に1本の線」として始まり、ガラス中央部に進むにつれて緩やかに蛇行したり、2本から3本に枝分かれ(二股に分岐)したりします。衝撃による打点(打撃痕)が一切見当たらない一本線のヒビは、熱割れの動かぬ証拠です。