福岡市博物館を訪れる最大の動機として多くの人が挙げるのが、志賀島で発見された国宝「金印(漢委奴国王)」の実物鑑賞です。「教科書に載っているあの有名な金印は、本当に本物が展示されているのか」と疑問を持つ声も散見されますが、福岡市博物館の常設展示室に鎮座しているのは紛れもない本物の国宝です(※他館への特別貸出期間等を除く)。
展示ケースの前に立った来館者の多くがまず驚くのは、そのサイズ感です。一辺が約2.3cm、重量約108gという極めて小ぶりな黄金の塊でありながら、ルーペ越しに見る「漢委奴國王」の精緻な陰刻文字と蛇をかたどった鈕(ちゅう・持ち手)の造形美は、約2000年前の古代東アジア外交の熱気を生々しく伝えています。
もう一つの至宝が、黒田家名宝の象徴である大身槍「日本号」です。「呑み取りの槍」の伝説で知られ、正三位の位を賜ったとされるこの名槍は、刃長79.2cm、螺鈿(らでん)細工が施された柄を含めた全長が3メートルを超える圧倒的な迫力を誇ります。倶利伽羅龍(くりからりゅう)が彫り込まれた刀身の輝きは圧巻の一言です。
ただし、文化財保護の観点から、名槍日本号や黒田官兵衛・長政ゆかりの国宝「圧切長谷部(へしきりはせべ)」「日光一文字」などの刀剣類は年間の展示期間が厳密に定められています。「せっかく行ったのに展示替え期間だった」という事態を防ぐためにも、来館前に公式サイトの収蔵品展示スケジュールを必ず照合してください。