本作のクライマックスにして最大の衝撃シーンが、羽田クリニックへの検察の強制捜査とスキャンダル暴露を受けて開かれた「りりこ緊急記者会見」です。無数のフラッシュが焚かれる中、純白のドレスに身を包んだりりこは、集まったマスコミの前で一言も弁明することなく、隠し持っていたハサミで自らの右目を突き刺すという壮絶な自傷行為を決行します。
自らの肉体を自ら破壊することで、大衆やメディアによる「美の搾取」を拒絶したりりこ。事件後、りりこは病院から忽然と姿を消し、世間では「死亡説」や「失踪説」が飛び交いますが、物語はそこで終わりません。月日が流れた後、水原希子演じる吉川こずえが訪れた海外(メキシコ)のアンダーグラウンドな見世物小屋的クラブに、眼帯を装着し、異形のカリスマとして君臨するりりこの姿が映し出されます。
蜷川実花監督が描いたこの結末は、原作のスピリットを忠実に継承しつつも、より力強い「怪物の再生」を提示しています。大衆が望む記号化された「可愛いモデル」の座を自ら降り、たとえアンダーグラウンドであっても誰にも消費されない「絶対的な個の表現者」として生き直す決意。ラストの不敵な笑みは、搾取する社会への究極の勝利宣言として解釈されています。