運ばれてきたトレイの上で目を引くのは、鮮烈な赤身を残した断面の美しさだ。高品質な牛肉に細かなパン粉をまとわせ、高温の油でわずか数十秒。外側はサクッと香ばしく、中はしっとりとしたレア状態に仕上げられている。
そして、この店の醍醐味といえば何と言っても目の前に用意された「石焼き」のプレートだ。ジューッと音を立てて肉を炙るたび、脂の甘い香りが立ち上り食欲を激しく刺激する。自分好みの火入れ加減に育て上げた一片を、まずは塩で。次にわさび醤油、そして特製の洋風タレへと変化させる。牛かつというジャンルが、単なる揚げ物の枠を超え、日本料理・和食の新たなスタイルとして認知された理由がここにある。