彼女のキャリアにおいて、故・大林宣彦監督との出会いがどれほど大きな意味を持っていたかは語り尽くせない。『野のなななのか』『花筥/HANAGATAMI』『海辺の映画館―キネマの玉手箱』と続いた「戦争三部作」での経験は、彼女の表現における哲学を根底から揺さぶり、再構築させた。
「映画は自由なもの」「映画は平和のためにある」という大林監督の遺志を間近で受け止め、カメラの前に立った日々。監督特有の詩的な世界観の中で、常盤はただ役を演じるだけでなく、フィルムに刻まれるひとつの風景として、完璧な叙情性を立ち上がらせた。大林組で得た濃密な体験は、現在の彼女が持つ言葉の重みや、映像に漂う独特の静寂感に今も確実に息づいている。