1990年代初頭のテレビ業界は、まさに女子アナブームの全盛期だった。バラエティ番組でタレント顔負けの活躍を見せるアナウンサーたちが時代の寵児となる中、入社当時の近藤サトが醸し出していた雰囲気は極めて特殊だった。20代前半にして、すでに完成されていた大人びた表情。ニュース原稿を読み上げる際の一音一音に対する厳格な姿勢。彼女が画面に映るだけで、番組の空気そのものが一段深く、重厚に沈み込んだ。
当時のポートレートを見ても、その美貌は流行の枠に収まらない美しさを誇っている。時代を反映したヘアスタイルやスタイリングを身に纏いながらも、カメラを見つめる眼差しにはどこか冷徹なまでの自己客観化が宿っていた。華やかなスポットライトの真ん中に立ちながら、流行の渦に呑み込まれない孤高の存在。それが彼女の出発点だった。