ラーメン史において、2000年代初頭の神奈川県央エリアは革新的な名店が次々と産声をあげた伝説の時代でした。その中心にいたのが、90年代後半に「中村屋」を立ち上げ“天空落とし”で一世を風靡した中村栄利氏と、その実兄である中村比呂人氏です。兄の比呂人氏が2001年、厚木市七沢の地にオープンさせた実験的かつ革新的な店舗こそが「ZUND-BAR」でした。
あえて駅前や都心の繁華街を避け、自然豊かな七沢の地を選んだ最大の理由は「仕込み水」にあります。丹沢大山(別名:阿夫利山)が長い年月をかけて育んだ清冽な天然水は、ミネラルバランスが秀逸で、鶏ガラや魚介の繊細な出汁を抽出するのにこれ以上ない理想的な水質を誇ります。「この大山の水でしか出せない澄んだスープを作りたい」という純粋な探求心から、秘境とも呼べる山あいに寸胴鍋(ずんど・なべ)が据えられました。
その後、ZUND-BARのコンセプトと大山(阿夫利山)の水を用いた味を都会へ届けるべく、2003年に恵比寿で創業したのが「AFURI」です。つまり、恵比寿や六本木、さらにはアメリカ・ポートランドやロンドンなど世界各地で愛されるAFURIのDNAは、すべてこの厚木・七沢の清流から始まっています。