クレアチンに関しては、ネット上で「副作用で腎臓が悪くなる」「むくんで太る」「ハゲる(薄毛になる)」といった噂が語られることがありますが、これらには科学的な誤解が含まれています。
1. 腎機能への影響と「クレアチニン値」の真実
クレアチンを摂取すると、健康診断の血液検査で「クレアチニン値」が一時的に基準値より高めに出ることがあります。クレアチニンはクレアチンが代謝された後の老廃物であるため、血中や尿中のクレアチニン数値が上がること自体は自然な生理現象です。既存の重篤な腎疾患を抱えていない健常者であれば、1日3〜5gの長期摂取によって腎機能障害を引き起こす証拠はないことが数多くの長期臨床試験で証明されています。ただし、健康診断の前にはサプリ摂取を医師に申告しておくのが賢明です。
2. 体重増加と「むくみ」の正体
摂取開始後に1〜2kg体重が増加することがありますが、これは皮下脂肪がついたわけでも、体表がむくんでいるわけでもありません。クレアチンが筋細胞内に引き込まれる際、浸透圧によって水分を筋肉細胞内(筋形質)に引き込むためです。筋肉の張りが増し、筋肉の合成環境としてはむしろプラスに働きます。体重階級制の競技者でない限り、過度な懸念は不要です。
3. 薄毛(脱毛症)の噂について
過去に発表された「クレアチン摂取でDHT(ジヒドロテストステロン)が上昇した」という小規模研究が過剰に拡散された結果ですが、その後の大規模な追試研究において薄毛を直接引き起こす再現性は確認されていません。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
自身のトレーニング目標や体調に合わせて、クレアチン導入の適性を判断するための基準は以下の通りです。
- 積極的に摂取すべき人:
- ウエイトトレーニングで挙上重量や扱えるセット数を伸ばしたい人
- スプリント、ジャンプ、コンタクトスポーツなど瞬発力を重視するアスリート
- 肉類の摂取量が少なく、体内のクレアチン基礎貯蔵量が低いベジタリアン・ヴィーガンの方
- 摂取に慎重になるべき人・注意が必要な人:
- 既存の慢性腎不全や重度の腎臓疾患を患っている方(主治医への相談が必須)
- 厳格な計量直前で、1kg前後の水分保持による一時的な体重増を避けたい階級制選手
- 極度の水分制限を行っている状態の人(クレアチン摂取中は通常より多めの水分補給が前提)