1階の『睡蓮』があまりにも有名なため、鑑賞後にそのまま出口へ向かってしまう旅行者が散見されます。しかし、オランジュリー美術館の真の奥行きは地下展示室(ジャン・ヴァルテール&ポール・ギヨーム・コレクション)にあります。
画商ポール・ギヨームとその妻ドメニカ、そして後に彼女の夫となった実業家ジャン・ヴァルテールが集めた約140点に及ぶプライベートコレクションは、20世紀初頭のパリ前衛美術の精華そのものです。
- オーギュスト・ルノワール:『ピアノを弾く少女たち』『風景の中の裸婦』など、晩年の円熟した筆致と柔らかな色彩が際立つ傑作群。
- パブロ・ピカソ:「青の時代」から「新古典主義の時代」に至る過渡期の重要作『大きな浴女』『布をまとう裸婦』。
- アンリ・ルソー:素朴派の代表格による『ジェニエ爺さんの馬車』や幻想的な肖像画。
- アメデオ・モディリアーニ:ギヨームの肖像画をはじめ、アーモンド形の瞳と優美な首筋が印象的な名作群。
- ポール・セザンヌ&アンドレ・ドラン:近代絵画の父セザンヌの構築的な風景画や静物画、野獣派の息吹を伝える作品。
巨大なルーヴル美術館とは異なり、小規模だからこそ作家ごとの距離感が近く、筆遣いやマティエール(絵肌の質感)をじっくりと凝視できる贅沢な展示空間となっています。