家族社会学および臨床心理学の観点から遠野なぎこさんの行動様式を分析すると、度重なるスピード結婚と離婚の根底には、深刻な「愛着障害」と「親との未解決の葛藤」が存在していたことが明白です。
遠野さんは自著『一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ』の中で、幼少期に実母から受けていた凄惨なネグレクトや身体的・精神的虐待、そして強烈なステージママとしての支配を告白しています。母からの承認を得るために子役として働き続け、思春期以降は過食嘔吐や拒食症などの摂食障害、強迫性障害に苦しみ続けました。
精神医学の世界において、養育者から無条件の愛情を受けられずに育った人物は、成人後に以下のような対人関係のトラウマ的再演に陥りやすいとされています。
- 見捨てられ不安と親密さへの恐怖(両価型愛着):極度の孤独からパートナーを激しく求める一方で、相手が近づきすぎると自己が侵食される恐怖を覚え、自ら関係を破壊してしまう。
- 心理的バウンダリー(境界線)の不全:「他人と同居する」という行為が、かつて自分を支配した母親との侵入的な関係をフラッシュバックさせ、身体的拒絶反応(過呼吸やパニック)を引き起こす。
- 「完全な愛」への幻想と幻滅:結婚という制度に「自分を救済してくれる究極の愛」を期待するあまり、現実の生活に伴う些細な違和感に耐えられず即座にリセットしてしまう。
彼女のスピード離婚は、決して男性を軽視していたからではなく、自らの精神の崩壊を防ぎ、同時に相手を巻き込んで破滅させないための「悲痛な防衛反応」だったと言えます。